『ユング自伝 2―思い出・夢・思想』
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II巻は「研究」「塔」「旅」「幻像」「死後の生命」「晩年の思想」の6章と付録の5篇とから成る。各章ともにユングの内面世界の雰囲気や、心というものが深遠な現実であったひとつの体験の思い出が生き生きと多彩に伝えられている。
その最も重要な著作の生成過程を概観する「研究」の章で彼は次のように語る。「私の仕事についてここに述べた展望は、ここに語りつつあるすべてのことと同じくひとつの即興詩である。それは一瞬の間に生れたものだ。私の仕事を知っている人はこれから益されるところがあろうし、また私の考えを調べる必要性を感じさせられる人もあろう。私の生涯は私の為したことであり、私の学問的研究である。両者は互いに分離することのできないものだ。研究は私の内的発展の表現である……」と。
1923年にユングはボーリンゲンの水辺に念願の円型家屋を構えた。これは1955年に完成された形になるが、ここでの内的体験の記録が「塔」であり、時間・空間を超えたヴィジョンの世界が展開される。
「晩年の思想」においては、長年の間にユングの心中に徐々に形成されていった人と神話の意味についての内省が語られる。
付録には、訣別前後当時のフロイトからユングへの手紙などのほか、本書で初めて公表される「死者への七つの語らい」が収められる。これは1913年から1917年の間にユングの内面に形成される印象を伝えたもので、後年の彼の思想の研究に貴重な書となるものである。全2巻